『誰もが注目の的になれる場所』年間レース総合3位の実力者が語るバトル文化の魅力と未来とは?【インタビュー】

2024年5月19日、東京都の初台DOORSにてヲタ芸/サイリウムダンスの祭典「RE:melt vol.3&CP Race TOUR 2023 Final」(通称:リメルト、CPレース)の2023年度の年間ランキング最終決定戦が行われた。

その最終トーナメント戦にて優勝、年間ランキング第3位を見事獲得した『みつき』に、バトルで魅せるパワフルで迫力のあるヲタ芸のルーツや、今後の活動について様々な話をしていただきました。

プロフィール

みつき

山口県出身の22歳、ヲタ芸歴約6年、teamワルキューレ所属

[主な戦績]

  • RE:melt vol.1 一部バトル優勝
  • 名古屋ヲタ芸バトルイベント「エルニーニョ vol.5」優勝
  • CPレースTOUR 2023 総合3位
  • CPレースTOUR 2023 Final 優勝

インタビュー

「自分の信じるヲタ芸スタイルを貫くこと」

今回当日トーナメント優勝、年間総合3位という結果となりましたが、率直な感想を教えてください。

素直に今までで一番嬉しいです。

RE:melt vol.1 の一部のバトルパートにて優勝してからバトラーとして認められた実感があり、そこからエルニーニョ(※愛知県名古屋市内で開催されているヲタ芸バトルイベント)でも優勝することができ、本格的にヲタ芸バトラーとしての認知が定着した気がします。

今回の優勝では特に様々な技術の高い個性豊かなバトラーがいる中で自分の信じてきたパワー系のヲタ芸スタイルが認められ、心の底から嬉しいと思いますし、自信にも繋がったと思います。

今回の優勝を振り返って、改めて自分のヲタ芸スタイルの良さや強み、優勝の決め手はなんだったと思いますか?

今回の優勝の大きな要因の一つとして、今回の最終戦に臨むにあたって自己分析にかなり力を入れたことだと思います。

RE:melt vol.2やエルニーニョ6, 7での敗戦をきっかけに、なぜ優勝できなかったのかを振り返った時、「純粋にバトルを楽しむこと」の重要さに気づきました。

初めて優勝したRE:melt vol.1の時はただ無心で楽しんでいて、難しい戦略や対策などは作らずに参加していて、今回も戦略的な部分というよりは大前提ヲタ芸、バトルを楽しむこと、楽しそうにヲタ芸をすることを大事に臨みました。

自分のヲタ芸スタイルの強みに関しては、客観的な意見としてよく言われるのはフィジカル面です。

僕は柔道を9年間やっていた経験から足と体幹は他と比べてかなり強いのではないかと思っています。ダイナミックな動きをしてもバランスを崩さないとか。

(自身のヲタ芸スタイルについて)なんかずっとニヤニヤしてるけど動きはパワフルで「なんか怖っ」となるような。笑

ただ、ヲタ芸をしている人はみんな友達だと思っているのでお互い睨み合っていてもしょうがないし、仲良くヲタ芸したいだけなんですよね。

「誰でも注目の的になることができる」

様々なバトルイベントに参加し、敗戦も優勝も経験してきたみつきさんにとってのバトル文化の魅力とはどんな部分だと思いますか?

誰でも業界の中で注目の的になれるところだと思います。

普段地方で活動していて、チームでの活動が難しいような人でも下剋上やジャイアントキリングを起こすことで知名度を上げることができ、友達ができたり交流の幅を広げられるところです。

今回のファイナリストのみんなと仲良くなれたのももちろんそうですし、ヲタ芸の上手い人に色んな話を聞けるようになったのもバトルのおかげだったと思います。

あとは単純に大きな会場で好きな曲がかかった時の高まりや高揚感ですね。

曲に関しては、今回のバトルに臨むにあたって、焼きおにぎりさん*にアドバイスを求めた時にイントロドンをオススメされて、ステージで曲が分からないことが一番怖いというのもありましたが、イントロでどの曲かわかるような訓練をしていました。

*焼きおにぎり:1999年生まれのヲタ芸プレイヤー。主な戦歴として「2021.09.19 OSAKA ROMANCE PARK優勝」「2022.06.18 TOKYO ROMANCE PARK優勝」「CPレースTour2022第5戦inWTG 優勝」「CP RaceTour2022 総合2位」がある。

みつきさんは普段は地方で活動をしていらっしゃるということもあり、遠方からの参加になるにも関わらず今回のCPレースに参加しようと思ったきっかけや理由はありますか?

自分はバトラーとしての活動歴が長くなくて、初めてバトルイベントに参加したのが2022年のOSAKA ROMANCE PARKでした。

当時自分は岡山県に住んでいて、ヲタ芸を通じて関西地方の友人が増え始めていて、もっとヲタ芸友達を増やしたいと思い、参加を決意し、イベント二部のヲタ芸バトルの予選にも参加しました。

その時は予選落ちという結果になってしまったのですが、この時の大会の優勝者のU-Na*さんが予選の個人的MVPだったとツイートをしてくれたのがめちゃくちゃ嬉しくて、バトルを通じて人に注目されるんだと気づいてからどんどんバトルが楽しく感じるようになっていきました。

RE:melt vol.2に参加した理由としては、純粋にバトルに出たい!、CPレースに参加しなきゃ!という気持ちではなく、二部のゲストバトル*目当てで参加して通しチケットで安くなるから一部のバトルも参加しようと思い参加したのが理由でした。

*U-Na:現在東京で活動するヲタ芸プレイヤー。ヲタ芸チームRe_deltaに所属し活動中。2022.05.14 OSAKA ROMANCE PARK 優勝、CP RaceTour2022ファイナリスト。

*ゲストバトル:2023.11.03に開催されたRE:melt vol.2の二部では9名のヲタ芸の実力者をゲストバトラーとして招待して3人チーム3組による総当たり戦を行うゲストバトル企画が実施された。

文化祭での衝撃体験

みつきさんはどのようなきっかけでヲタ芸を始めたのか教えていただけますか?

高校時代の文化祭の有志のステージで見ず知らずの先輩たちがヲタ芸を披露していたのをみたのがきっかけです。

「何これ、すごい!」と思ったのが率直な感想で。ダンス部や吹奏楽部もパフォーマンスをしていたんですけど、当時流行っていたわけでもないアニソンでのパフォーマンスにも関わらず、他とは比べものにならないくらいの歓声を浴びていたのを見て「これはやらなあかん!」と思い、始めました。

高校時代は一緒に文化祭を見て始めた人と一緒に続けていて、Twitterなどを通じて山口県内のプレイヤーとも交流を持ちながら趣味程度に続けていたんですけど、高校を卒業して岡山県の大学に入ってから本格的に活動し始めました。そして、姫路に色んなプレイヤーがコミュニティを作っていたということもあり、姫路によく遊びに行くようになって、「ヲタ芸の上手さとは?」という話を皆ですることを通じて「今までの自分のヲタ芸は腕をぶん回しているだけだったのか!」と気づき、手首の使い方など、ヲタ芸の細かい技術面にも目がいくようになりました。

今では、腕を力強く回すことと細かい技術面や理論の両方を掛け合わせることで、自分のヲタ芸を初めて見た人でもびっくりさせることができるようなヲタ芸になり、そこが自分の強みになっていると思っています。

ヲタ芸の魅力、そして今後の活動について

みつきさんにとって、ヲタ芸の好きなところやヲタ芸の良さとはどんな所ですか?

上手さの種類が沢山あるところや全国に友達ができるところですね。

ヲタ芸が上手いというのにも色々あると思っていて、バトルが強いのもそうだし、チームや個人で良い動画を作ることや技術を洗練させることなど、何をやっても認められる可能性がある所だと思っています。

その人がかっこいいと思うことを突き詰めることができる所ですね。ただ、その過程で喧嘩になったりすることもあるんですけど、それもまた一興なのかなとも思っています。笑

また、全国各地に仲の良いヲタ芸友達がいるというのも良いなと思います。

ヲタ芸の話に限らず、好きなアニメの話など密に話せる親友が色んな地域にいるのがとても面白いと思うし、なかなか他の文化じゃ味わえないことでヲタ芸ならではの魅力なんじゃないかなと思っています。

みつきさんの今後のヲタ芸活動について教えてください。また、今回のCPレースの結果をどのように活かしていきたいですか?

バトラーとしてバトル文化を盛り上げ続けたいですね。

歴代の優勝者はチーム活動に集中したりでバトルから退く人が多いのですが、自分はチームなどに所属せずソロで活動している分、個人勢としてバトルに出場し続けることでバトルの魅力を発信していきたいなと考えています。また、下の世代に負けることはないと思うので(笑)、目標になれるように頑張りたいですね。「あのみつきさんですか!?」みたいな。笑

また、今回のCPレースでファイナリストと言うある種の信頼度を得られたと思うので、機会があれば審査員なども挑戦してみたいなと思っていますし、バトルの戦術や魅力を発信するバトルワークショップなどもやってみたいですね。

長いスパンで考えた時に、みつきさんも現役を引退するタイミングなどくるかもしれないですし、ヲタ芸とどのようにかかわり続けたいと思っていますか?

個人的にヲタ芸のプレイヤー寿命は25,6歳だと思っていて、その個人的な寿命までは僕と関わってくれた人がヲタ芸を楽しめるように僕自身が率先してヲタ芸を楽しもうと思っています。

また、自分は西側に住んでいる人間なのでまだまだ関東の友達が少ないのもあり、ヲタ芸を通じてもっともっと色んな人を知ってみたいし、友達を増やしていきたいなと思っています。

まとめ

今回はCP Race TOUR 2023で見事総合3位の結果を残した「みつき」さんにインタビューさせていただきました。

現状に満足せず、より高みを目指す謙虚な姿勢や純粋にヲタ芸を楽しむことを大切にしているみつきさんのヲタ芸哲学が言葉の一つ一つに滲み出ていて、とても刺激的なインタビューになりました!

今後もバトルへの参戦も明言していたみつきさんが今後どのような実績を残していくのか要注目です!

Photos by mocha. (@mo_42_9)

この記事を書いた人

Hako

Hako

元ヲタ芸チームJKz所属、現在はソロプレイヤーとして活動中
現在はヲタ芸のワークショップ、ナンバー講師*、ヲタ芸イベント「RE:melt」ディレクション、アートワーク制作、バトル審査員など幅広く活動し、日本発祥のサブカルチャーとしてヲタ芸文化の発信に注力しています。
・大会優勝歴
CPRaceTour2020FINAL 日本三位
MAN OF THE CYALUME DANCE OSAKA 優勝(2020) その他多数優勝経験あり

ルミカ公式ペンライト

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